「 共謀罪(テロ等準備罪)」法案は、独立した新しい法律をつくるための法案ではありません。
「組織犯罪処罰法」という、もともとある法律の改正案です。
改正の目的は、「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准するため」とされています。
TOC条約は、マフィアなどの犯罪集団が国境を越えて行う犯罪を防ぐためにつくられた条約です。
このなかに、共謀罪などを設けるよう求める条項があるのです。
「共謀罪法案」と「テロ等準備罪法案」は、呼び方が違うだけで、同じものをさしています。
10年以上前に国会に提出された法案は、組織犯罪処罰法に「組織的な犯罪の共謀」罪を盛り込むものでしたから、与党も野党もみんなが「共謀罪法案」と呼んでいました。
このときは、反対の盛り上がりが大きく、「共謀罪法案は平成の治安維持法だ」「話し合うだけで罪になる」というキャッチフレーズが広まりました。
「共謀罪」という言葉に悪いイメージがついてしまったので、政府は今回は「テロ等準備罪法案」という呼び名をつけることにしました。
しかし、じつは、今回の法案の条文には「共謀罪」という言葉も「テロ等準備罪」という言葉もありません。
法案に書かれた罪名は、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」罪という、とても長いものです。
すなおに略せば「計画罪」となりそうですが、「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准するため」という目的と、「2人以上の人が犯罪を実行しようと話し合って合意した」ことを罪として罰することに変わりがないため、法律上の用語の「共謀罪」を使い、「共謀罪法案」と呼ぶ人も多いのです。