前のブログ記事を書いて、当初共謀罪の対象だった676の罪から抜いた399罪を検討しようとおもい、まず刑法からとりかかった。
「過失、未遂、準備罪、予備罪、陰謀罪や共謀罪のあるもの」はひとめで明らかだし、「結果的加重犯」もほぼわかるので、そういうものを抜いて表にしてみた。
あれ??
やっぱりおかしい・・・。
1.「殺人」「詐欺」「恐喝」などは、「加重類型」でも「組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定し難い犯罪」でもないのに、対象から除外されている。
(加重類型:犯罪を実行する人の身分や犯罪実行の目的などによって、同じ犯罪を犯しても罰を特別に重くするもの)
2.「看守者等による逃走援助」「税関職員によるあへん煙輸入等」「虚偽鑑定等」「虚偽告訴等」「特別公務員職権濫用」「特別公務員暴行陵虐」「公用文書毀棄」など、特別な地位にある公務員がかかわると思われる重大な犯罪が軒並み対象から除外されている。
このうち、1については、組織犯罪処罰法第3条の「組織的な殺人等」を対象犯罪としたから除外したのだということがわかった。
この理由で除外したのがあきらかなのは7つ。
つまり、加重類型の「組織的な殺人」を対象犯罪にし、その土台の「殺人」(加重類型でない)のほうを除外したわけだ。「殺人」を対象にすれば「組織的な殺人」も自動的に対象になるのに、わざわざこんなことをしたのには、もちろん、わけがある。表むきのわけと、そうでないものと。でも、それについては、長くなるのでまたあとで。
2のうち「看守者等による逃走援助」は、法務省の説明では「組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定し難い犯罪」の例に入れられている。
特別な地位にある公務員がかかわる犯罪については、「組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定し難い犯罪」とすることにしたのだろうか。
もしそうだとしたら、それはなぜだろう。
看守や警察官や検察や裁判官や公用文書を扱う公務員は、法案でいう「組織的犯罪集団」になることはありえないということなのだろうか。
それとも・・・
この件、どうもすっきりしないので、もう少し考えてみたい。