さまざまな形で活動をされている現場の方たちから、この法案についての声が寄せられています。
ここでは、その一部をご紹介します。
1.非行歴のある人たちの社会復帰を支援する民間の活動に参加している方からの心配
こうした現場(生活支援以外にも職場の提供なども)では、本人が失敗を繰り返すこととも気長に付き合っていかなくてはならない現実があります。
「いっそ、こんなことやればお金が稼げるのに」…といった言動とも、さほど珍しくもなく出会い、その言葉から対話へ紡ぐ中で、本人の内面に隠されていた気持ちがようやく理解されることがあるからです。
交わされる話の中には、277に入れられた「窃盗」、また「組織的…」ならその全部、そのほか様々な「犯罪」の中身にあたるものも入ってきます。
わたしたちが、絶対に「組織的犯罪集団」には入らず、「共謀罪」にも問われない、のか?
法案では、そこにハッキリとした線引きがされておらず、たいへん心配しています。
こうした活動自体が自粛されていくのではないか、また、私たち自身の姿勢も、今までの更生を見守るものから、 管理的・監視的なものに変わっていくのではないか、それも、とても気がかりです。
2.難民支援の活動に参加している方からの心配
「共謀罪」の対象となる277の罪以外で、別表3に入っている中に
・ 不法入国の罪の共犯
・ 不法上陸の罪の共犯
・ 不法残留の罪の共犯
・ 不法在留の罪の共犯
・ 不法入国等援助の罪
・ 不法入国者等の隠匿等の罪
があるのを見つけて、たいへん不安を感じています。 私たちの活動は、継続しているものですし、 「組織的犯罪集団」の中に入ってしまうのではないでしょうか?
法案を読んでも、その可能性がない、というのが曖昧でハッキリわかりません。
これが通れば、難民支援者の自粛を招くのではないか、当事者たちに自主的に申請を諦めてもらうという方向に、どんどん傾いていくのではないか、そこを心配しています。
3.NPO法人で活動されている方からの心配
年に4つから5つくらいの助成金申請をしています。
結果が出る時期と法人の年間事業計画・予算を確定する時期にずれがあるので、申請が下りた場合に赤字を出さぬよう、書面上でいろいろな工面をせざるをえません。
例えば、会議の回数であれば、事業実施するために必要な回数はどのくらいか、
ではなく、金額を確保するには…という頭で考えて出す、といったことになります。
それでないと実際、事業も回していけない、というのが正直なところです。
今回、「共謀罪」に当たる、という277の罪の表の中に、
「不正の手段による補助金等の受交付等の罪」が入り、
これを相談したり、計画することが「共謀罪」になるかもしれないと知って、不安を感じています。