6月1日の参議院法務委員会に、参考人として出席された松宮孝明さん(立命館大学大学院法務研究科教授)の発言。
すごく明快だなあと思いました。
いくつかご紹介すると、
政府答弁によれば「組織的犯罪集団」は、別表3の罪を結合関係の基礎としての共同の目的とするもの、と定義されます。わたしは、これじゃあ日本語として、どういう意味なのかよく分からないのですが、 ともかく…こう書いているので、
「最初から犯罪を目的として成立している凶悪な犯罪集団に限定される」・・のだそうです(そうなの???)。
◇ 松宮教授は、「組織的犯罪集団」は明確に規定されていない、として過去の判例を引くほかに、引き合いに出しているのがこちらです。
↓
ドイツ刑法129条 犯罪結社罪
「組織設立当初から犯罪を第一義的目的としている団体に限定する」
例えば法案では、こうした明快な規定がなされていないと仰っています。
たしかにこの規定なら、私にも一般の会社や市民団体はここに入らない、と取れます。
◇ 277の罪が、凶悪な組織的犯罪集団が計画すると想定できる罪の全部であって 、これ以上でも以下でもないものなの???
↓
松宮教授によると、この277の罪は一般刑法犯の80%を占める罪状なのだそうです。
★「いや、これほんとだわ!」とびっくりしたのが
・計画した人物が組織のメンバーである、という明示的規定はない。
法案の第6条の2 第1項のことです。
これを聞いて、もう一度読み返してみると…、確かに!
第2項で、わざわざ書かずとも、「二人以上で計画した者」について、
団体の構成員であって、という規定が、第1項にもともと入っていません。
作成者は、当然第1項の方は組織の構成員、のつもりでいるのかもしれないけど、
書かれていない。
意図的なのか、ミスなのか、わかりませんが。
いずれにせよ、杜撰な条文であることに変わりない。
安倍首相の「今やるんだ!」を忖度して、ほんとにやっつけ仕事したのではないのか?!
という印象が深まるばかりです。
この時の中継画面では、途中で議員席のほうが映る・・・と、
与党側の議員、複数名が眠っているではありませんか!
これじゃあ、聴いてないのかなぁ?・・・
H・Y
階議員の質疑と、それへの政府側答弁のザックリメモです。
◆林刑事局長の答弁は、井出議員への答弁に引き続いて
スキスキのこの法案の隙間が、「わたしども」の解釈で
さらに微に入り細に入り、埋め尽くされていく工程を見ているようです。
林刑事局長の「組織的犯罪集団」の解釈によれば
・オウム真理教のあのサリン事件は、この改正案第6条の二
の適用対象じゃなくなると思うのですが。
しかし、いったん「組織的犯罪集団」と捜査当局に認定されれば、
「計画」をした、その「心づもり」にとても重点が置かれることがわかります。
◆なにより、それ以前にまずTOC条約と合ってない!…ということもあぶり出されています。
・「汚職」に当たる罪が、すっぽり除外されていることも、TOC条約との齟齬だし。
林刑事局長が、終盤で「公用文書の毀棄の罪」などが277の罪からなぜ除外されたかに触れている部分では、すごく早口になります。
そのために、ここはよく聞き取れず、何度も聴き直しました。
それにしても、TOC条約との齟齬はひどい。
条約なんて、ほんとは視野の端にも入ってないのだろうと思いました。
TOC条約を墨守とは逆の、不真面目なこと極まりない態度、ではないかしら。
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階:
衆院採決後、ビジネスロイヤーの会から、共謀罪法案に反対する声明文が提出された。
https://blogs.yahoo.co.jp/gyolawyer/14894952.html?__ysp=44OT44K444ON44K544Ot44Kk44Ok44O844Gu5Lya
一般のビジネスに従事する者、会社員や自営業者にも適用される…という見解とそれに対する危惧を表明。
別表3に掲げる罪の実行を目的にも有しているような場合、こうした一般の団体、あるいは団体の中に
プロジェクトチームのような組織を立ち上げた場合に、これらが組織的犯罪集団に当たりうるのではないか?
金田:
一般的には、正当な事業活動を行っている一般の会社などは、通常は(定義)・・とは認められず、組織的犯罪集団には該当しない。
階:
「通常は…」と言われ、さらに前段(読んだ定義)では、別表3に掲げる罪を目的とすれば該当すると仰っている。
TOC条約第五条1a(ⅰ)冒頭に、 「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接的に関連する目的のため重大な犯罪を行うこと」とありますから、企業のようなビジネスで利益を得る団体は、対象に当たりうると考えるのが自然。もう一度、組織的犯罪集団に、企業のようなビジネスで利益を得ることを目的とする団体が当たりうるということを確認したい。
金田:
通常は・・・(定義繰り返す)とは認められないので該当しない。
階:
例えば、節税対策を検討するプロジェクトチームがあるとする。
プロジェクトチームが節税対策を計画し、助言を顧問税理士に求めたところ、「脱税の罪に当たる」と顧問整理士から指摘され、
その段階で計画を断念した、という場合。
助言を求めた時点で「実行準備行為」が認められ、その段階で共謀罪が成立、その後計画は断念しても、いったんすれば「共謀罪」に当たるので、罪は免れないと思うが、いかが。
金田:
(定義繰り返し)。
細目に渡るご質問ですので、補足を政府参考人から答弁を合わせて申し上げる。
林:
そのプロジェクトチームのような組織自体が、組織的犯罪集団と認められるためには、その組織自身が、組織的犯罪処罰法上の団体に該当する必要がある。この場合は認められず該当しない。
階:
組織的犯罪集団とは、団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの、となっている。後付けで脱税の罪を目的としていた、ということに認定されないか。それはないと法文上断言できるか。
林:
犯罪主体の問題で、該当しない。それで、テロ等準備罪が成立の余地はないと考えている。会社の中にある組織としてのプロジェクトチームの例示があったが、この場合そのプロジェクトチーム自体が会社から独立した団体と認められる必要がある。
節税か脱税かという行為のレベルでの評価が、テロ等準備罪の主体であるところの、組織的犯罪集団の認定に影響を与えることはない。まず、組織的犯罪集団といえるかという主体の問題があって、それが行った犯罪実行の計画が、このテロ等準備罪に当たるかどうか、という議論になると思う。
階:
そうすると、仮に、本当は脱税をしてもかまわないと未必の故意があったとしても、節税を目的とするプロジェクト―ムだと言い張っていれば、これは組織的犯罪集団には絶対に当たらないと、こういうことでいいか。
林:
大前提として、節税対策のプロジェクトチームが組織的犯罪集団には該当しないと考えている。それは独立の団体性を有しないからだ。したがって、そのことだけでテロ等準備罪の成立の余地はないと考えている。
犯罪実行を目的としていると認定するためには、犯罪実行の認識が無ければならない。節税のためという認識であれば、それは組織的犯罪集団の共同の目的として認められない。
階:
では、プロジェクトチームではなく、中小企業ということにして、会社全体で節税を考えているが、脱税について未必の故意がある場合、未必の故意があれば故意犯が成立するというのは確立した理論だが、この場合でも絶対に(組織的犯罪集団の共同の目的として)成立しないということでよろしいか。
林:
その中小企業というのも、脱税を共同の目的として結合しているわけではない。正当な活動を目的としている企業については、犯罪行為を行うという目的が無くても、そういった団体の結合が構成しているということであるので、脱税を目的とした犯罪集団とはなりえない。
階:
今回の法案は、5月19日に山尾委員の質疑で明らかになったが、TOC条約を締結することが目的であり、立法事実であるのに、「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接的に関連する目的」が企業などにある場合に、そういった企業などが脱税の計画をしたといったことが、摘発の対象にならないとなると、逆にTOC条約の第五条の条件を満たさない、ということにならないか。
林:
今回のテロ等準備罪法案については、条約にある「組織的犯罪集団が関与するもの」というオプション、これを国内法に落として、その結果が組織的犯罪処罰法の改正案となっている。したがって、条約に基づいて、それで国内法を構成している。
階:
意味が分からない。答えになっていない。条約にもとづいて、と言うのであれば、最初に「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接的に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを1又は2以上の者と合意すること」とあり、企業には金銭的利益を得ることに目的があり、その上で重大な犯罪の中に脱税も入る、その上で計画したものが、なぜ対象に入らないのか?TOC条約に入ることが目的ならば、当然先ほどのケースは対象になるのではないか?
林:
一般の団体を我々は「組織的犯罪集団」とは考えていない。条約においては、「組織的犯罪集団が関与するもの」こういったものをオプションとして使ってよいとなった。したがって組織的犯罪集団の関与というものを国内法の中で落とした。その際に、当然一般の団体は「組織的犯罪集団」ではないという前提で、それが法律の中で正しく落とされているとすれば、まったく条約に齟齬しているものとは考えていない。
階:
つまり、「組織的犯罪集団」に当たるかどうかが大前提で、これに当たらなければ、仮に金銭的利益その他の物質的利益を得る目的を有する団体であっても、共謀罪は成立しないし、逆に金銭的利益その他の物質的利益を得ることの目的がなかったとしても、みなさんが言うところの「組織的犯罪集団」に当たれば、これは共謀罪が成立するということになるのか?
TOC条約の第五条の目的に「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接的に関連する目的」と書いてあるが、これは共謀罪の成立には全く影響を及ぼさない、こういう理解でよろしいか?
林:
仮に団体が、金銭的目的な犯罪を計画した場合、例えばこの場合に通常の会社がある段階で脱税を計画したと、こういったものについては今回、テロ等準備罪からは対象外とする、まずそれが前提だ。なぜならそういった団体は「組織的犯罪集団」ではないからだ。
条約の中でも、あらゆる団体が金銭的な利益を目的として計画したもの、その合意を処罰する、これを条約は求めていない。「組織的犯罪集団」が関与するというオプションを付けて良い、ということになっているので「組織的犯罪集団」の定義を置いて、国内法においては提出させていただいている法案とした。
階:
「組織的犯罪集団」が関与するかどうかに重きを置いており、利益というところには重きを置いていないということでよいか。そうであれば、今回277の罪に絞り込む過程で、公用文書等毀棄の罪(刑法258条)が落とされている。今ちょうど、森友学園の問題で、財務省は公文書を廃棄したのではないか、これは違法ではないかと有識者からも指摘されている。「公用文書毀棄罪」は、7年以下の懲役なので、重大な犯罪に形式的に該当する。
かつこれは、金銭的利益とは関係ないが、今の説明だと、組織的犯罪に当たればいいということなので、仮に違法な公文書毀棄であれば、組織的にこれを財務省がやっていることになりうる。であれば、なぜ「公用文書等毀棄の罪」を排除したのか?
林:
今回、対象犯罪の絞り込みにあたっては「組織的犯罪集団」というものが法文で明記されたことに伴い、その対象犯罪は「組織的犯罪集団」が現実的に計画することが想定される罪、という形で絞り込めば条約を履行することになると、こうした解釈をしている。その観点から「公用文書等毀棄の罪」等については、行為の態様、現実の犯罪情勢等に照らして、「組織的犯罪集団」がこれらの罪の実行を計画をすることが現実的に想定しがたいと考え、対象外とした。
階:
まったくよくわからない。「組織的犯罪集団」には一般的企業は当たらないと言われたが、このビジネスロイヤーの会の意見書にもある通り、明文上の確たる根拠がない、ということだ。説明はされているが、捜査機関の一存でいかようにも運用できるということにならないか。
このビジネスロイヤーの会の声明は、まったくの杞憂、まったくの誤りということか?
林:
そのような会社自体が脱税をした場合にも、従来の組織的犯罪の共謀罪に当たるのではないか、という懸念があった。こうした従来の懸念と、お示しの声明とは、基本的に同じだと思う。わたしどもは、この団体というものについては、従来は「団体の活動として」という解釈で制限しようと考えていたが、それに対する杞憂、不安が示されたので、今回は団体というものをさらに限定して、「組織的犯罪集団」に限るということに限定した。その際に「組織的犯罪集団」の定義として「結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にある」というところを明記した。
これによって、一般の会社の団体が「組織的犯罪集団」となることは考えられない、と私たちは思っている。
階:
「思っている」ではない。条文上明確にならなければ、萎縮的効果が生じる。しかもこの「組織的犯罪集団」の構成員だけではなく、昨日の参議院での答弁によれば、その周辺にいる人も共謀罪の主体になりうる、という話もあった。ビジネスロイヤーの会も指摘している通り、相談を受けた税理士は弁護士、こうした方々も、もし間違って本来は脱税の罪に当たるものを、当たらない、と言ってしまい、その意見にもとづき税務申告書のドラフトを作ってしまった場合にも、テロ等準備罪、共謀罪が成立するのではないか。こういう懸念も抱いている。専門家にとっても萎縮的効果が生じるのではないかと、論理的に説明している。これは全くの杞憂であって、法解釈の誤りであると断言できるか?
林:
例えば脱税の目的が無ければその会社は結合しない、解散する、ということなら脱税の目的が「共同の目的」になると思うが。正当な活動をしている団体が、犯罪の目的が結合関係の基礎になる目的であるというためには、そこまでを立証しなければ言えないと考える。一般の団体が脱税をすることが組織の目的になることはありうると思うが、ありうるからといって、脱税を計画していること、あるいは仮に何回か繰り返しているからと言って、その団体の目的が脱税にある、あるいは犯罪実行にあるということにはならないと申し上げる。
階:
条文の根拠を聞いている。条文上はどこからそう読めるのか、ということが問題。条文上の根拠はあくまで「結合関係の基礎」というところにあるわけだが、ここが極めて解釈の幅が広い概念ではないかと思っている。その点でビジネスロイヤーの会の意見も杞憂ではないと思っている。もし、ここは杞憂ではないというなら、きちんと文書で法律上の根拠を示して説明していただきたい。委員長にその点を理事会で計っていただきたい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・・・ここで疑問が、
この法案の条文では、共謀罪の主体は「団体」と規定されているのでしょうか…?
(H.Y)
6月2日の、井出議員の質問と、林刑事局長の答弁、ザックリメモです。
専門用語が多くて、わたしにとって、メモとるのなかなか容易じゃないこと実感!
林局長は、ご自分の解釈述べてるんじゃないの、って感じ。条文のどこにも書いていない、
法律のスキスキのとこを、自分の(刑事局長の肩書付けて)解釈で埋めてる気がしました。
井出議員、鋭くえぐる、という迫り方を決してせずに、
政府側の答弁に疑問を感じる部分があっても、そこを突かないで、
なんども首を傾げつつ、
「…ということは、こういう解釈になりますか?」
と聞いていく。 (政府の答弁に沿えば)が、但し書きとして前につくのだな、という感じです。
林刑事局長も、それに対して、たくさん喋っちゃう風で。
どうも、井出議員はうまいこと政府答弁引き出す役割みたいに思えました。
で、出てきた答弁は、この後で分析されて、
おかしな点を、また別の人たちが、いろんな角度から追及してくのかな、
と期待させる感じ。
採決前と比べて、ヤジが飛び交うということも
どうもあまりなさそうで、空気が落ち着いています。
傍聴人も、減ってるのではないかなあ。
H.Y.
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
井出:
(衆議院で通過したとはいえ)共謀罪の中身について議論を続けていくことは大事。
用意した質問を消化していない、おそらく林刑事局長も、用意した答弁を消化していない、
というものもあろうかと…
井出:
5月19日に取り上げた件の続き、共同正犯からの離脱ということからみていくと、
犯罪の実行との因果関係を断ち切るという意味において、
テロ等準備罪からの離脱は、犯罪の実行前の計画段階で、計画からの因果関係を断ち切る。
離脱の要件は計画段階の方が危険性が低い、共同正犯より緩くしておくべきではないか。
林:
共同正犯は既遂を前提とした因果関係。
テロ等準備罪 それよりも以前の行為。
計画行為・実行準備行為、二つを構成要件として掲げている
計画がされ、実行準備行為に至るより以前の段階で離脱。
井出:
離脱を、全員に表明して了承を得るという以前のご答弁あった。
現実的に、全員に伝えて、さらに了承を得るということについて、
もう少し具体的に。相手からの明示的な了承が必要なのか、必ずそこまでは必要ないのか。
林:
この点でいきますと、共犯関係の離脱、という点からの裁判例では、
意志を伝えた場合に、相手方がそれを受領したとするために、
必ずしも積極的に了承せずともよしとする判例もある。
個別具体的な事案において判断。
井出:
・・・政府の見解に沿えば、「組織的犯罪集団」は極めて凶悪な集団であると。
明確な目的を持っていなければならないとされる。
そうであるならば、そういう凶悪性の高い組織的犯罪集団だとすると、離脱の意思を表明された時に
むしろそこで犯罪が起きるのではないか、その人の命が奪われるのではないか。
離脱の要件については、慎重に考えていただきたい。
「組織の悪質性」という観点から、離脱の要件はこれまで通りでいいのか。
林:
これまでも、事実認定の中で判断されてきているので、これからもそこは変わらない。
あくまでも個別の事案による。
その意味で、計画からの離脱と、共犯関係からの離脱と、どちらが容易に考えていいか、という比較の問題ではないと考えている。
組織的犯罪集団による計画となると、計画から実行準備行為へと進む可能性が
極めて高い、という点に着目して、今回「テロ等準備罪」というものを構成している。
そうであるから、自らの行為としては、積極的な行動としては離脱の意思を他の計画者に伝えるということは不可欠ではないかと思う。
井出:
・・・犯罪を思いとどまる人までを、実際の犯罪に至る前にあって
処罰の対象とする必要性があるのか。
「自首をする人」と「離脱者」、捜査の端緒となるのは「自首」であるという想定から
こうした建付けになっているのか?
林:自首、離脱、いずれが捜査の端緒となり易いかは一概に言えない。
いずれが期待度が高い、とは一概に言えない。
井出:
自首は「実行準備行為後になされるものか?」
計画から、実行準備行為に至る前に「自首」があっても、犯罪そのものが認められないので
自首が成立もしない、という理解でいいか。
林:その通りです
井出:
「計画」についてお聞きしたい。
何回かお配りしてきた資料で、まだ触れることができなかった質問。
犯行実行の予定日、時刻、場所といったことについて、どの程度までの具体性が必要か?
(この資料、どうやらAさん、Bさん、Cさん、Dさんと色分けされた人物がいて、
それぞれの関わり具合が異なっている、というのが描かれているらしい
井出議員の質問を聞いていると、明示的というより、それぞれの心情的な部分にも触れてるみたいな感じです…)
林:
「具体的かつ現実的」とは、犯罪の目的やその対象、実行の手段、実行に至るまでの手段
各自の役割。
犯行の日時、各人の役割の詳細までは定まっている必要はない。
井出:
日時は変更もありうるかもしれないが、役割も、詳細まで決める必要が無いというのは、
指揮命令系統、役割分担というところが曖昧ではないか。
林:
役割が定められる必要はあるが、「誰が」という分担までは必要ない。
井出:
各人への役割の分担までは必要ないとすれば、本人の犯罪への認識…
犯罪に対する故意の部分にも関わってくるのではないか。
詳細な役割分担までが与えられていないとすれば、
「自分は当日には行かない」とか。
実行準備行為の認識が全員に共有されることは必要か?
林:
計画者には入っていない、「実行準備行為者(外形的にその行為をする人)」は対象に入らない。
外形的に計画に加わっていた人間で、犯罪の実行意思がなかった、ということは極めて例外的ではないか。
構成要件は重層的だが、最終的には「計画したもの」が処罰対象。
外形的には計画に加わっていたとしても、犯罪実行の意思が無かったことが明らかになった、
という人は、計画の意思がない、ということで処罰対象からは外れる場合がある。
井出:
政治的な意思を持ち、それを表明し、デモや座り込みを行う。
その時、偶発的に多くのけが人が出る事態になった場合に、
デモの計画をした人たちが、暴動を起こす意図があったと絡められることは
無い、ということを確認したい。
林:
組織的犯罪集団でなければならない、それは犯罪を目的とする団体。
デモや座り込みから、たまたま暴動に至るような場合には
組織的犯罪集団ではない、ということでテロ等準備罪には該当しない。
主体性、計画が偶発的なものではない、ということから、該当しない。
井出:
予備罪があるものと、共謀罪とで、罪の重さが逆転するのではないか、
というところで、まだどなたからも答弁が無いが、
それについてお聞きしたい。
林:
実行準備行為が「犯罪の予備行為」を排除していないので、
同意一の組織的犯罪集団が予備から入ったとしても
罪が軽くはならない。
井出:
・・・そうなると、またお聞きしなければならないことが出てくるが、
時間も少なくなってきているので、そこからは階先生にお願いすることに。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
このあと、井出議員は裁判員制度についての
実施状況あれこれ、の質問に移っていきます。
それが終わると、
階議員の番に。
6月2日(金)の今日、あ~衆議院の法務委員会やってるんだな、
なにやってるんだろう?
・・・と覗いたら!
ちょうど民進党の逢坂議員が、中継画面に。
・スノーデン氏へのインタビュー記事を引き
・ケナタッチ氏からの書簡と、それに対する政府からの抗議文 についての質問。
その流れで、金田法務大臣に
我が国における共謀罪法案の
「立法事実、前に挙げていただいた3つ(根拠なしと判明)以外のを
そろそろ思いつかれたんじゃないですか?」
で、それを示してくれ、と迫ってました。
(金田大臣からは、例示なし)
続く共産党の畑野議員は
「我が国の人権擁護に関してご質問…」
と入って、治安維持法の詳細についてと、その政府の認識を聞いています。
お昼までで終わったあとに、録画を見始めたら、
民進党の井出議員が「計画」の、具体的な中身を訊ねています!
林刑事局長の答弁も聞くことができる。
まだ、終えてないわ、ここで野党、粘ってますわ!
H.Y.
今日の新聞記事に、こういうものがありました。
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201706/0010243008.shtml
今回のこの法案、問われる罪と問われない罪の基準がとってもおかしいのです。
たとえば最近、森友学園や加計学園の一連の疑惑に関連して、公用の文書を官公庁が削除したとかいう話がかなり話題になっていますが、「公用文書毀棄」は今回除外されています。つまり「公務所(官公庁など)用の文書やデータの毀棄を共謀しても、罪には問われないとされているのです。
その他にも、公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法、警察などによる特別公務員職権濫用や暴行陵虐(被疑者への暴力など)、といったものも除外されています。
都合が悪くなったといって公文書を削除しようとしたり、選挙違反を共謀しても、罪に問われない・・・なんだかヘンじゃありませんか?公務員や政治家は悪いことをしない、という前提でもあるのでしょうか。
また、いわゆる商業賄賂罪(会社法、金融商品取引法、商品先物取引法、投資信託投資法人法、医薬品医療機器法、労働安全衛生法、貸金業法、資産流動化法、仲裁法、一般社団財団法人法などの収賄罪)も除外されています。これらは、他の国では規制が強化されているものなのに、日本では共謀罪には問われないという法案になってしまっています。
そのため、これには経団連などの意向が反映されているのでは、とも囁かれています。
税金に関する罪でもおかしいことがあります。
相続税法違反が除外されており、一方で所得税法違反は含まれています。一般的に、相続税が関係してくるのは富裕層、所得税が関係してくるのはサラリーマンだと思われますが、この違いは何が根拠なのでしょうか。
そもそも公務員の汚職や商業賄賂罪は、政府がこの法案の根拠としているTOC条約が規制強化を求めているものなのに、対象から除外するのは相当おかしい。
もしこの法案が、ある立場にいる人たちには有利なものとして、意図的に作られているものだとしたら・・・?
そんな疑問が払拭出来ないでいます。
6/2 追記
6/2の衆議院法務委員会で、民進党の階議員がまさにこの話題を出しています。
当該審議の録画はこちらをご覧ください。(2:20:40より)
R.Y.